オスカー直前!2018年ノミネート映画9作ぶった切り!
厳しい冬も峠を迎え、暖かい春の訪れが目前に迫っているようですが、いかがお過ごしでしょうか?
EFオフィスがあるロンドン・チェルシー地区は、数日前から雪が降りつもり、最高気温マイナス1℃で、一瞬_「ここはモスクワかな?」_と思うぐらいの極寒の日々が続いています。
寒すぎて映画を見るぐらいしか楽しみがないのと、今週日曜日にはアカデミー賞がついに発表!ということもあるので、映画内の名言を散りばめながら、オスカーノミネート作品のレビューをお届けします。
ただの会社員である私が、カテゴリー無視で完全に独断と偏見で決めたランキングを、ヒーターで暖を取りながら書き綴ります。
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9位 Dunkirk
邦題:ダンケルク
おすすめ度 ★☆☆☆☆
これぞ、ザ・戦争映画ではないでしょうか。
フランスのDunkirk(ダンケルク)という町で起きた、追い詰められた軍隊をイギリス本国から助けるため、庶民までもが民間船なども使って脱出に文字通り助け舟を出した、という実話を元にした物語です。
ディカプリオのインセプションや宇宙映画のインターセラーで有名なクリストファー・ノーラン監督がつとめたこともあり、公開前から話題沸騰でした。
しかしながら、実際の映画はと言うと映像美と圧倒的なスペクタクルはあったものの、
ドーン!
ブーーーーン!
ガシャーン!
ダダダダダダダ(銃声)
といった、ドルビーデジタル(DB)さんがいい仕事をしすぎたせいか、爆音しか印象に残らず、見終わった後、心まで銃でぶち抜かれてボロボロになった気分でした。
主演のフィン・ホワイトヘッドくんは若さ溢れたイケメン俳優で、フレッシュさがあるのはいいのですが、演技にまだ子供っぽさが残るのが玉に瑕。
それに続くように元アイドルグループONE DIRECTION(通称1D)のハリー・スタイルズまでもが同僚役で出演しているので、「この人つい最近まで歌って踊ってたよなぁ」という変な現実が頭によぎって、全然ストーリーに入り込めませんでした。
サポートアクトのキリアン・マーフィーやトム・ハーディーなどのベテラン俳優がいなければ、この映画を見たこと自体、後悔していたかもしれません。
そういえば自分、インセプションもインターセラーも見てなかったしなぁ←、と気づきながら映画館を後にすると、観客が男性ほとんどなことにも驚きました。
アクション映画ファンの方は好きなのかもしれません。
名言はやっぱりこの一言
“We shall never surrender.”
(我々は絶対に降伏していけない)
チャーチルも残したこの一言は、イギリス人だけでなく、当時ナチスを相手に戦っていた連合軍すべての人々の心に残った一言と言えるでしょう。
8位 The Square
邦題:ザ・スクエア 思いやりの聖域
おすすめ度 ★★☆☆☆
カンヌで公開された際に、会場から「恥を知れ!」と暴言が浴びせられたという奇天烈映画。
スウェーデンの奇才リューベン・オストルンド監督の映画なのですが、本当に狂ってました。
離婚歴がありながらも裕福な環境で暮らす美術館員の男性が、あることが原因で人生が狂い、どんどん転落していくお話。
こういう現実離れした話は結構好きなのですが、残念ながらコメディー要素が全然面白いと思えず、去年ノミネートされたドイツ映画の『ありがとう、トニ・エルドマン』を彷彿とさせるヨーロピアン・ユーモアに、モヤモヤすらしてくる始末。
前半、最強にうまいJUSTICEの音楽の使い方にテンションぶち上がりで期待したのに、後半の展開がいまいちでした。
実は監督が来英したので舞台挨拶にまで行ってきたのですが、「奇をてらった表現を通じて”普通”を風刺する、北欧ならではの映画にしたかった」という言葉は伝わってきたものの、好きか嫌いかで聞かれると「あんまり好きじゃない」と言わざるを得ない内容でした。
映画はスウェーデン語と英語で繰り広げられるのですが、名言を挙げるとすれば、
“So what’s my name!?”
(じゃあ、私の名前言ってみなさいよ!)です。
軽いナンパ男を撃退するのに使ってみましょう。
7位 Loveless
邦題:ラブレス
おすすめ度 ★★★☆☆
こちらもThe Squareに並んで外国語部門にノミネートされたロシア映画。心の奥底まで凍り付きそうな冷たい映画です。
ほとんど出てこない子役の演技に心がえぐられる思いをします。この時代でも愛とぬくもりのある家庭で育てない子供たちがこんなにいるのかと。
決して観賞していて気持ちのいい映画ではありませんが、現代社会を皮肉り、元々コミュニストだった大国ロシアが30年前に変貌を遂げ、自由や幸せを求めすぎたがために自己中心的な人間が増えている様子を、ジャックナイフのごとく鋭く描いています。
全編ロシア語なので、名言は割愛します。
6位 Baby Driver
邦題:ベイビー・ドライバー
おすすめ度 ★★★★☆
イギリスではサイモン・ペッグというコメディー俳優とのタッグでお馴染み、エドガー・ライト監督の映画です。
今回ペッグの出演はないですが、この映画もライト節炸裂で良いです。
監督のオタクっぷりがいい意味で貢献していて、私は現役で使っていますが、今は社会的に化石化してしまっているiPod Classicを片手に主人公のBabyがアトランタの街をギュインギュインに、目を見張るハンドルさばきで駆け抜けます。
Top Gearとかが好きな人はたまらないのではないでしょうか。
ストーリーにやや無茶ぶり感はあるものの、軽快な音楽とSubaru車の小回りがたまりません(日本人としても嬉しいSubraru)。
チームのメンバーをどんどん裏切るところや、仲間内でも流血して戦う狂いっぷり。今や時の人となったケビン・スペイシーの悪役演技も大注目です。
**見ていてスカっとするし、**アクション映画でありながらも絶妙な音楽とコラボしたりするので、ユーモアセンスの高さも感じます。
主演のドミニク・アンセルくんも良かったですが、耳が不自由で車椅子に乗った、Babyの父親代わりのジョセフ役をしていたCJ Jonesさんの演技にものすごく心打たれました。
ぜひぜひ大きな画面で見てほしい一作です。名言は思い出せないですが、休みの日とかに聞くときっと優雅な昼下がりが過ごせるはずのサントラを激推します!
5位 Lady Bird
邦題:レディ・バード
実はこの映画、まだ見ていません。←
会社で前の席に座る身長2mのドイツ人メガネ男子が、公開前から珍しく「めっちゃ楽しみ!」と息を巻いていたので、実際見た彼の意見を参考に「もし見ていたらこの辺りのランクだろう」という予想でランクインしてみました。
カリフォルニアの田舎サクラメントに住む女子高生が、
自分を**「レディ・バード🐞」と名付けてみたり、「あたしは文化のある東海岸に行きたいのよ!こんなド田舎うんざり!」と地元をディスりながら母親と大喧嘩して車から飛び降りてみたり、成績悪いのに「名門大学に行きたい」とごねて先生に「あなたの成績じゃ無理よ」**と本音を言われてみたりする、監督の過去に少し基づいた青春映画(?)です。
実際に見たのっぽドイツ人同僚曰く、主演のシアーシャ・ローナンのピンクに髪を染めるようなちょっとこじらせた女子高生をリアルに演じているのはもちろん、母親役のローリー・メトカーフの演技がVery goodだそう。
母娘にありがちな喧嘩と心の葛藤、親子ならではの裏切りやすれ違いを乗り越えて関係を築いていく本物の家族の在り方がうまく描かれているそうです。
ただし映画をめっちゃ楽しみにしてたドイツ人ですら「期待しすぎた。意外に普通かも。」とリアルなコメントを言っていたので、この順位です。
名言は、母親に自分がなれる最高の自分になってほしい(“I want you to be the very best version of yourself that you can be.”)と懇願されたレディ・バードが返す一言、
“What if this is the best version?”
(今の自分が最高の自分だったらどうしたらいいのよ?)
思春期ならではのモヤモヤがストライクで伝わってくる言葉ですね。
この映画は日本では夏頃まで公開されませんので、もしまだなら、本作で作品賞もノミネートされているグレタ・ガーウィグ監督・主演の”Frances Ha”(フランシス・ハ)もご覧ください。
レディ・バードより前に作られていながらも「続編っぽい」と言われる作品ですが、こちらはドイツ人も私もお気に入りの、パンチが効きながらもチャーミングで面白い白黒映画です。
4位 Call Me By Your Name
邦題:君の名前で僕を読んで
**おすすめ度 ★★★★☆
**
ただただ美しい。
この一言につきます。主演のティモシー・シャラメくん、準主役のアーニー・ハマーさん、イケメンという呼び名が軽いと感じるほど、二人とも男っ前なんです。
この美しすぎる二人が繰り広げる熱い愛の物語なんですが、映像美が半端ないです。これぞ、ルカ・グァニダニーノ作品といったところ(他作品はまだ見ていませんが←)。
「よ!グァニダニーノ!名前は超覚えにくいけど、ブラボー!」と思わず小声で合いの手入れたくなる綺麗な作品です。
恋をしているときの盲目さや、好きな人のことで頭がいっぱいな感じ、別に同性愛でも異性愛でも気持ちは同じじゃね?という問題提議をはじめ、予想はしていたけどやってくる別れ、それに伴う胸が張り裂けそうな感情、イタリア人監督ならではの豊かな感情表現がキラリと光ります。
残念ながらお父さん役のマイケル・スタールバーグの英語が自分の耳に慣れず、いいシーンで名言を聞き逃してしまったのが歯がゆいので、またDVDでチェックしますが、ピックアップした名言はこちら。
“Later!”
(後で!)
Arnie演じる研究生のオリバーがアメリカンな挨拶をし
「あの”Later”って言い方ちょっと失礼じゃない?」
と主人公のエリオが不貞腐れて言うのですが、嫌よ嫌よも好きのうちなのか、その後急速に惹かれ合う二人の愛情が、舞台は20年ほど前なのに、21世紀のテクノロジーを駆使した絶妙なカメラワークで眩しいほどに表現されています。
個人的に主演男優賞はこのTimotheeくんにあげたいです。理由は、ただ単にかわいいから。←
3位 The Shape of Water
邦題:シェイプ・オブ・ウォーター
おすすめ度 ★★★☆☆
アカデミー賞作品賞最有力!という、怪物と中年女性の究極のファンタジー・ラブストーリー。
画面から目が離せないような引き込まれる内容で、何よりメキシコ人監督のデル・トロさんの映画に対する愛がふつふつと伝わってきます。
2017年12月に公開された本作は「ハリウッドから、仏映画アメリへ16年ぶりの返答」と言わんばかりの不思議ワールドで、怪物と口が利けない中年女性という、本来映画というメディアでは美しさからかけ離れている二人が、儚くも美しい互いへの愛情表現を繰り広げます。
恐らく好き嫌いの問題なのかもしれませんが、私は感動的な心の触れ合いが描かれたシーンからもんのすごいインパクト強いシーンに引っ張っていく切り替えに、なんでやねん!と裏切られた気持ちになり、元々は本命でしたが3位ランクインにしました。
名言はグリーティングカードに書かれたこの一言。
“Glad to be your friend”
(君と友達になれてうれしいよ)
怪物と仲良くなれそうなときにも、使える表現です。
2位 Get Out
邦題:ゲットアウト
おすすめ度 ★★★★☆
アメリカで今一番オモロイ映画を作るプロダクション・カンパニー、ブラムハウス・プロダクションズの2017年作が作品賞でノミネート。
あらすじとかあんまり気にせず、**とりあえず映画見に行って!**と言いたくなるような作品です。
観賞しながら「もしやこれは?」って期待しながら見ているとそのまま期待が裏切られなかったり、「そこ、そうくる!?」と気持ちよく裏切られたりと、とにかく面白い。
一般ピーポーの私には絶対に思いつかないストーリー展開が、ブラムハウスの腕の見せ所。
主演のクリスを演じるダニエル・カルーヤくんは今イギリスで新人賞をかっさらいまくっている若手俳優です。
インタビューを読んでいても等身大の若者という感じがして、演技が上手いのはもちろん、感じがいい謙虚な人です。
ロンドンの公営住宅街で育った彼がめちゃめちゃいい演技をする、人種差別を題材にした愛すべきホラー映画がこのGet Out。
冒頭からめっちゃ怖いけど、めっちゃ面白いんです。
名言は彼女の実家に初めて訪れた黒人の彼に彼女の父親が言った一言
“If I could, I would have voted for Obama for a third term.”
(オバマ大統領が三期目に出馬していたら投票したのにと思うよ)
それを言っちゃダメとツッコミたくなる、無知な大人たちの一言が完全に悪い例としていっぱい出てきて面白いです。これがきっかけでアメリカの社会的な問題にも興味がわきました。
1位 Three Billboard Outside Ebbing, Missouri 🏆
邦題: スリービルボード
栄えある一位は、ぶっちぎりでこの作品!
特に見たい映画がなかった週末直前の金曜の夕方、公開中の映画予告を見まくって消去法で見に行った作品がこれでした。
全く期待せず見に行った作品でしたが、観賞後はもう遊園地に行ってジェットコースターに3周ぐらい乗ってきたぐらいぐるんぐるんに振り回されて映画館を後にしました。
ダイナミックで、暴力的で、ヒヤヒヤしながらも、めちゃくちゃ心温まるシーンもあったりと、言葉で表現し辛いほど、素晴らしい映画です。
主演女優は絶対にこのスリービルボードに出ていたフランシス・マクドーマンドに取ってほしいと思うほど、ベテランならではの本気の演技が見れます。
この人の演技を見ているだけでも映画代の元取れたような、狂ってるけどめちゃめちゃ強い母ちゃん(母親、お母さんではなくあえての母ちゃん)を熱演されています。
脇役の皆さんもキャラクターがばっちりハマっていて、観賞後も数日はこの映画のことを考えてしまうぐらい、衝撃的な映画でした。
印象的なスリッパのシーン、オレンジジュースのシーン、ABBAのチキチータと炎が共存するシーン…列挙したらキリがないほど名シーンと良い音楽であふれています。
あとこの映画は裏設定もすごいので、オタクにはたまりません。
イギリスのアカデミー賞BAFTAでは驚異の5冠に輝いたこの作品、オスカーも作品賞と脚本賞、主演女優賞は取ってほしい、いや間違いなく取るであろう、オススメ度100の最高の映画です。
日本では2月1日に公開されたこの映画、口コミで話題を呼びまだまだロングヒット上映中のようですので、まだ見ていない人は騙されたと思って見に行ってください。
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